民間の学童をはじめられたきっかけを教えてください。

約8年前、自分の子どもの学童を探していたのですが、当時の公立学童は、制度上の問題や人的制約で、子供を預かることだけで精いっぱいという状況でした。
保育園との環境の変化に戸惑い自信を失う子供や、仕事を諦めざるを得ない保護者の方にもたくさん出会いました。
実は妻が保育教育の専門家なので、これからを生きる子どもたちが、自分らしく成長できる場所と環境を作ろうと、2016年「鎌倉学び舎」をスタートしました。

「子供らしさを育む」うえでどのような取り組みをされているのでしょうか。

まず、子供が自ら考え、作り、遊び、認められるような環境づくりが第一だと考えました。
完成品ではないたくさんの「素材」を用意し、子供が次に興味を持つであろうことを見極め、サポートできるよう少人数のグループに対し複数の専任スタッフを配しています。
そして保護者の皆さまに対しては、子供たちの日々の様子を写真でお伝えし、都度子育て相談を行うなど、保育・養育の安心を提供しています。
こういったことの積み重ねで、子どもたちは「安心」のなかで自分を表現し、自己を肯定し、たくましく生きていく力を磨いていくと考えています。

今後の展望についてお聞かせください。

現在ご好評いただいていることの一つに、三味線、茶道、日本舞踊等の伝統芸能について、鎌倉の高名な先生方から直接手ほどきを受けられるお稽古があります。
元々こちらに開校したのも、円覚寺塔頭の雲頂菴ご住職が「北鎌倉に素晴らしい教育環境を」と尽力されており、お声かけいただいたのがご縁でしたが、伝統芸能の先生方も、そういった地域の繋がりがあってこそご協力いただけていると感謝しています。
また、昨年大船の美術学校「湘南美術学院」と共同開発した教育プログラム「リビングアート」をリリースしました。
これは、教育と美術の専門家が一緒に開発したカリキュラムで、配信動画をもとに子供が自分のペースで考え、表現する力を育むことが狙いです。
私たちが開校当初から理念としてかかげている「子供が自ら考え、作り、遊び、認められる経験を重ね、自分らしく成長してほしい」という想いが根底にあるプログラムなので、もっとたくさんの方に知っていただきたいですね。
学童は小学校低学年で終了するケースが多いですが、今後は高学年になっても得るものが多いと感じてもらえるようなサービスを充実し、子供たちとともに成長できる事業でありたいと考えています。