おはようございます。
弁理士の渡部です。
関西のメーカが販売する製品で、「どろソース」という製品があります。
「どろソース」は、その名のとおりドロッとした濃厚なソースです。
ウスターソースの製造過程で「どろ」と呼ばれる沈殿物が生まれるのですが、「どろソース」は、この「どろ」を原料としています。
通常は沈殿物として処分される「どろ」ですが、上記メーカは、この「どろ」に着目し、新たな製品開発を何年もかけて進め、現在の「どろソース」に辿り着きました。
上記メーカが改良を重ねて得られた「どろ」は、ソース本来の持っている野菜の旨味と香辛料の辛味がバランスよく調和しており、独特のするどい味わいが広がるそうです。
このような表舞台には決してでない企業努力ですが、こうした不断の企業努力を続けることによって、美味しく特徴的な味わいのソースを生み出すことができるようになります。
「どろソース」を購入した消費者は、これを使ってみて、美味しく特徴的な味わいに魅力を感じれば、また購入したくなります。
つまり、消費者が製品を気に入るという「価値」が生まれます。
この価値をブランドといい、製品を支持する消費者が増えれば増えるほど、ブランドが高まることになります。
ところで、ブランドを法的に守る一つの方法として商標登録があります。
製品名について商標登録を受ければ、消費者は、その製品名を目印に次も同じ製品を購入しようとするので、商標登録によって正規メーカ以外に誰も真似しない状況が作り出せれば、消費者がメーカを取り違えることなく、そこに健全な取引が生まれます。
健全な取引を確立できることは実はとても大切なことで、製品により生まれる収益のすべてを正規メーカが受けることができるようになります。
そうすればまたその収益をもとに、消費者により喜ばれる商品を開発することができます。
ここで勘違いしてはいけないのは、商標登録を受ければブランドが必ず育つという意味ではなく、上記メーカのように「消費者に喜ばれる商品」を生み出すことが前提なのです。
ブランドを守るツールは「商標登録」。
でも、そこからブランドを育てるのは「企業努力」なのです。
この両輪によって、大きなブランドへと成長していくのです。
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