おはようございます。
弁理士の渡部です。
本日は、先のブログ「よっちゃん食品が『ゲソ(下足)の極み』で商標出願」の続きです。
1:オリジナル商標に似ていること
オリジナル商標が有名で、パロディ商標がオリジナル商標と取り違えるほど似ている場合は、商標登録を受けることができません。
ただし、この場合、オリジナル商標を使った商品と、パロディ商標を使った商品が同種の商品であることが条件となります。
この点、パロディ商標「ゲソの極み」を使う商品は「食品」ですが、オリジナル商標「ゲスの極み乙女」は食品には使われていないので、同種の商品とはいえないことから、このハードルはクリアできそうです。
2:オリジナル商標を所有する企業と間違えてしまうこと
オリジナル商標を使った商品とパロディ商標を使った商品が違うものであっても、オリジナル商標の有名レベルが高く、パロディ商標を使った商品を販売すると、あたかもオリジナル企業(オリジナル商標を所有する企業)の商品であるかのような誤解を与えるおそれがある場合は、商標登録を受けることができません。
商標登録の審査では、消費者の観点で「ゲソの極み」という名称で食品が販売されたときに、「ゲスの極み乙女」と関係のある企業が販売するものであると誤解を与えるかどうかで判断されます。
本件は、商標同士は必ずしも似ているとはいえないものの、オリジナル商標をイメージさせることから、ここが一番ポイントとなってくるのではないでしょうか。
3:オリジナル商標が著名でこれにただ乗りする不正な目的があること
オリジナル商標を使った商品とパロディ商標を使った商品が違うものであっても、オリジナル商標の有名レベルが高く、しかもこれにただ乗りする不正の目的がある場合は、商標登録を受けることができません。
この点、商標同士は必ずしも似ているとはいえないので、客観的な資料から不正の目的があるということは少々難しいかもしれません。
4:上の3つには当てはまらないが、商標登録をするには問題があること
特許庁としては最後の切り札が「公序良俗」です。
上の3つのハードルでは排除できないが、だからといって商標登録をしてしまうと、社会的に問題があるというような場合は、公序良俗に反するという理由が通知されます。
公序良俗ということですから、社会問題として見過ごせないレベルの事件である必要があるので、「ゲソの極み」で公序良俗を指摘するのは少々難しいかもしれませんが、可能性としては考えられます。
次回は、「パロディ商標『似ているレベル』は3段階ある」についてお話しします。
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