おはようございます。
弁理士の渡部です。
「デコポン」も「不知火」も、清見とポンカンを交配して作られた果実です。
なぜ違う名前で売っているのでしょうか。
「デコポン」は、上記果実の登録商標(登録第2495156号)であり、熊本県果実農業協同組合連合会及び同会が許諾した者だけが使用できる名称です。
これに対し、「不知火」は、上記果実の普通名称であり、熊本県果実農業協同組合連合会以外の者が使用する名称です。
・「ウォークマン」(ソニーの登録商標)と「ポータブルオーディオプレイヤー」(普通名称)
・「ポッキー」(グリコの登録商標)と「チョコレート菓子」(普通名称)
の関係です。
【豆知識1】
現在、登録商標「デコポン」を使用する場合は、糖度が13度以上、クエン酸1.0以下でなければいけません。
「デコポン」は、柑橘類のなかで唯一全国統一された基準がある果物で、日本園芸農業協同組合連合会に加盟する全国のJAのみ使用できるようです。
【豆知識2】
果実によっては品種登録を受けることができ、品種登録の際は、市場においてその品種の果実を区別するために名称を付けることが決まりとなっています。
品種登録の際に付けた名称は、ブランドとして独占できるものではなく、その果実の普通名称として誰でも使用することができるように開放されるのです。
ですので、品種登録の名称に、ブランドとして使いたい本命を付けてしまうと、逆に普通名称として開放することになってしまい、しかも品種登録後に名称を変更することができないので、注意が必要です。