おはようございます。
弁理士の渡部です。
先の記事で、「情熱家弁理士」という商標について商標登録を受けたことをご報告しました。
さて、「情熱家弁理士」のように「士」が付く商標は、他の商標とは異なる特殊な事情があります。
それはどのような事情かといいますと、
1.特許庁の審査においては「公序良俗に反する商標」に該当するかどうか
2.商標登録を受けられたはいいが、「弁理士」以外の事業者が使うことができるのかどうか
などです。
〔第1点目〕
「公序良俗に反する商標」とは穏やかではないですが、要するに、商標登録を認めると、「情熱家弁理士」という商標を独占する権利を個人(私)に与えることになるので、商標登録することで、個人(私)が得られる利益よりも、社会全体が被る不利益の方が大きくなる場合があるかどうかを考えなければならない、ということです。
「士」が付く商標については、次のような審査の基準があります。
「士」の付く商標が、次のa又はbに該当する場合は、原則として、公序良俗に反する商標として拒絶することとする、とされています。
a.国家資格等を表す場合
b.一般人が国家資格等と一見紛らわしく誤認を生ずるおそれのある場合
「情熱家弁理士」がaには該当しないので、bに該当するかどうかです。
bについては、「情熱家弁理士」と同一又は類似する名称の国家資格は存在するかどうか、及び、「情熱家弁理士」と同一又は類似する名称が法令によって使用を規制されているかどうか、で判断されます。
「弁理士」という国家資格があるものの、「弁理士」との関係では、bには該当しないと判断され、登録を受けられたということになります。
〔第2点目〕
「弁理士」以外の事業者が使うことができるのか。
これについては、商標法ではなく、弁理士法にも留意が必要になります。
弁理士法には、「弁理士でない者は、弁理士又はこれらに類似する名称を用いてはならない」との規定があります。