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「東京国際特許事務所」事件

おはようございます。
弁理士の渡部です。


日本弁理士会の会則によれば、他の既存の事務所と誤認混同を生じるおそれがある事務所名称については使用が禁止されています。


すなわち、弁理士Aが「東京国際特許事務所」という名称を届け出て日本弁理士会により登録を受けた場合、その後、他の弁理士Bが「東京国際特許事務所」という名称を使用することは禁止されているのです。
実はこの規定、事務所名称について商標登録を受けるにあたって影響を与える重要な規定です。


事務所名称について、次のような事件がありました。
弁理士Aが「東京国際特許事務所」という商標を出願し商標登録を受けました。
ところが、弁理士Bが、弁理士Aの出願の後でかつ商標登録の前に、「東京国際特許事務所」という名称を届け出て日本弁理士会により登録を受けてしまいました。


そうすると、弁理士Aは、せっかく取得した商標「東京国際特許事務所」を使用することができません。
加えて、弁理士Bが、弁理士Aの商標「東京国際特許事務所」に対して商標登録を取り消すように特許庁に異議申立を行いました。


特許庁は、弁理士Bの異議申立を認め、弁理士Aの商標登録を取り消しました。
その理由とは、「商標権者(弁理士A)は、日本弁理士会の会則により、本件商標と同一の「東京国際特許事務所」という事務所名称を日本弁理士会に登録することができず、その使用を禁止されていたものであるから、商標権者(弁理士A)が、本件商標をその指定役務について使用した場合、申立人(弁理士B)の事務所名称と誤認混同を生ずるおそれのあること明らかであり、公の秩序を害するおそれがある商標というべきである。」というものです。


したがって、弁理士が事務所名称について商標登録を受けるには、事務所名称を届け出て日本弁理士会により登録を受けていることが必要となるわけです。


参考:異議2002-90277





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