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【その2】始まる新たな商標登録の管理、市場ニーズに合わせた内容の充実化の負担軽減へ

おはようございます。
弁理士の渡部です。


本日は、先のブログ「始まる新たな商標登録の管理、市場ニーズに合わせた内容の充実化の負担軽減へ」の続きです。


市場のニーズは日々変化


現在は、昔と違って市場のニーズの変化が激しく、事業の内容もこれに合わせて変わっていく時代です。
市場のニーズに合った商品を提供しようと事業を行っていくと、取り扱う商品が増えたり変わったりしていき、例えば、始めはお菓子だけを販売していたのに、ある時から同じブランド名(商標のことです。)を使って別の商品を手がけることも現在の市場ではよくあることです。
5年、10年と事業をされている方はよくご存知でしょう。現在取り扱っている商品が創業1年目とは違っていることを。


日本経済新聞の記事をもう一度引用します。



引用:商標 子会社と共有可能に 特許庁、系列で使いやすく


特許庁は企業が自社商品の商標を取りやすくする制度を整える。同じ商標をあとから別の商品にも使ったりする場合に商標権を管理しやすくする。
審査基準を変更し、今持っている商標を他の種類の商品にも広げやすくする。1つの商品に対する商標を出願した際、あとで対象の商品を追加したい場合、1つ目と追加したものとまとめて申請できるようになる。



記事中に「同じ商標をあとから別の商品にも使ったりする場合に商標権を管理しやすく」とあります。
これはまさに、市場のニーズに合わせて取り扱う商品が増えたり変わったりしていき、その都度、同じブランド名について商標登録を追加で取得する企業が増えてきていることが背景にあります。


この報道では、どのように管理しやすくするのか詳細までは分かりませんが、上記背景を考えると少し想像できます。
これまでは、同じ商標について複数の商標登録がある場合は、それぞれ更新期限の管理や登録料の納付などを行わなければならず、数が増えると管理が大変でした。また、区分が重複することもあり、この場合は、二重に登録料を支払わなければなりませんでした。
おそらくこうした管理の負担を減らせるような仕組みを導入するのではないかと予想されます。


「1つの商品に対する商標を出願した際、あとで対象の商品を追加したい場合、1つ目と追加したものとまとめて申請できる」とあるので、後からする商標出願で前の商標登録の内容を乗り換えることができるようにするのかもしれません。なお、マドプロでは、近い制度が既に取り入れられています(商標法第68条の10)。


先願主義がある以上将来取り扱う商品の予測は必至


このように、市場のニーズの変化が激しく、これに事業の内容を合わせていくことは重要なのですが、一方で、その変化に合わせて商標登録の内容もきちんと見直していかないと、いつの間にか保護範囲から外れていた!、なんてことになってしまいます。



こうした企業の負担を少なくするというのは行政の取り組みとして有益です。
ですが、私たちのように商標登録を活用する企業の側では、もう一歩先の対策を考えたいものです。


商標登録が管理しやすくはなるとはいうものの、あくまで管理の負担が減るというだけのことであって、後から追加する商品が前の商標登録の日まで繰り上がることは、我が国が先願主義を採用している以上、絶対にあり得ません。後からする商標出願よりも先に他社の商標登録があれば、追加した部分については他社の商標登録が優先されてしまうというリスクがあります。


そう考えると、一番最初の商標登録を取得するときに、現在の事業で取り扱う商品だけを考えるのではなく、事業拡大等により将来取り扱う商品まできちんと検討しておくことが、今後の新しい商標登録のスタンダードとなるでしょう。


次回は、将来取り扱う商品をどうやって検討するのか、その方法についてお話しします。



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