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かに道楽事件「先使用権は虎の穴」

おはようございます。
弁理士の渡部です。


かに道楽の商標侵害事件が話題になっています。


http://www.sankei.com/west/news/161108/wst1611080001-n1.html


大阪で有名なかに道楽(以下「かに道楽社」)が、愛知の老舗練り物会社を商標権侵害で訴えたとの報道です。
訴えの内容は、老舗練り物会社が「かに道楽」という商品名でかまぼこを販売したことが、かに道楽社の商標権を侵害するとの内容です。


報道によれば、この事件では、老舗練り物会社が先使用権を主張して争っているようです。
先使用権とは何かということを分かりやすくお伝えします。


先使用権とは、かに道楽社の商標登録の範囲で商標を使用してたとしても、かに道楽社の商標登録よりも先に同じ商標を使用していた場合は、かに道楽社の商標権に穴を開け、老舗練り物会社が商標を使用することが認められるというものです。


先使用権は、商標権侵害事件で訴えられる側に立たされると、「うちは相手よりも先に使っているのだから、侵害にはならないんでしょ?」というように安易に主張されることがしばしあります。
そう、「先に使っていたから」という部分に強い既得権があるように見えるからです。


しかし、それは虎の穴に誘い込まれる甘い罠です。
先使用権は虎の穴。我が国の商標制度において、ここに立ち入らないに越したことはありません。


なぜでしょうか。
先使用権には、先に使っていたということのほかに、3つの大きな壁があるからです。


次回は、本記事の続きとして「かに道楽事件『先使用権は否認ではなく抗弁』」についてお話します。



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