おはようございます。
弁理士の渡部です。
本日は、先のブログ「かに道楽事件『相当有名でなければならない』」の続きで、先使用権の3つの壁の3つ目をお話します。
有名だったことは、誰が証明するのでしょうか。
裁判では、原告が事実を証明することが原則となりますが、先ほどの2段構えの構成において、原告が証明するのは「Aという条件を満たすこと」だけです。
原告がそこを証明できた場合、被告が先使用権を主張するには、「Bという条件を満たすこと」は被告が証明することになります。
つまり、抗弁は被告が証明することになります。
先使用権が認められるための条件はいくつかあり、そのうち特に厳しいのが有名の時期と程度です。
例えば、昭和の時代にいくつかの都道府県にわたって知られていたことをどうやって立証するのでしょうか。
会計書類はもとより当時の書類・資料など残っていないことがほとんどです。
裁判では、仮に出願時に相当有名であったことが事実であっても、それを書類等で証明できなければ認められません。
先使用権は、すなわち、時間が経てば経つほど証明が困難になり、事実上使えなくなる風化する権利だということです。
次回は、本記事の続きとして「かに道楽事件『原則の側に立場を置く』」についてお話します。
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