おはようございます。
弁理士の渡部です。
まったく同じ商標があるのにどうやって登録したんですか?
何か魔法でも使ったのですか?
こんな質問を同業の先生から受けました。
確かに、同じ商品区分で同じ商標が登録されており、後に出願した商標は、私が出願手続を担当しました。
いいえ、私は魔法使いではありません。
特許庁では、何年かに一度、商品区分を整理することがあります。
商品同士の類似関係を見直す作業です。
この整理が行われると、例えば、これまでは類似しない関係にあった商品Aと商品Bが、類似する関係として整理されることがあります。
最近の事例でいうと、例えば、商品「パン」と商品「サンドイッチ」は、類似しない商品だったのですが、平成23年の整理により、互いに類似する商品として整理されました。
なぜこのような整理を行うかというと、市場での取引事情が変わり、「サンドイッチ」が「パン」と同じ陳列棚などで販売されるようになったので、「パン」と「サンドイッチ」に同じ商標を別々の企業が使った場合、消費者が混同してしまう可能性があることから、同じ商標が別々の企業に登録されないように、これらは、類似する商品として整理する必要が出たためです。
そうすると、「パン」と「サンドイッチ」に同じ商標を別々の企業が登録することはできなくなくなり、消費者が混同してしまうという問題が解決できます。
しかし、別の問題があります。
それは、既に登録となっている商標の関係です。
上の例でいうと、「パン」について商標Aをある企業が登録し、整理前は「パン」とは類似しない「サンドイッチ」について同じ商標Aを別の企業が登録していた場合、整理後はどうなるかというと、両方とも併存することになります。
すなわち、冒頭の質問のように、同じ商品区分で同じ商標が登録された状態になるということです。
しかし、これはその後、三つ巴という状況を生むことになります。
商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。