おはようございます。
弁理士の渡部です。
アップルとサムスンが各国で特許紛争を繰り広げています。
現在、戦績は以下のとおりです。
オーストラリア サムスン(勝)
ドイツ アップル(勝)
イギリス サムスン(勝)
韓国 引き分け
米国 アップル(勝)
日本 サムスン(勝)
アップルがサムスン相手に特許訴訟を繰り広げている背景には、「タブレット端末」と「スマートフォン」の2大市場のシェア争いがあります。
市場競争においては、シェア率として3つの目標値が知られています。
73.9%以上のシェア率は独占状態。
73.9%~41.7%のシェア率は安全圏。
26.1%のシェア率は、強者と弱者を分けるボーダーといわれています。
米調査会社IDCの調査によれば、今年4~6月の世界シェア率は、「タブレット端末」については、アップルが70%であるのに対しサムスンが10%であるので、アップルがほぼ独占状態にあり、サムスンが弱者に位置づけられる状況です。
これに対し、「スマートフォン」については、サムスンが32%であるのに対しアップルが16%であるので、「タブレット端末」の市場とは逆に、アップルが弱者に位置づけられる状況です。
アップルとしては、「スマートフォン」のシェア率を、何としてでもまずはボーダーである26.1%まで達したいところです。
この数値に達するかどうかで、アップルの市場に対する戦略が大きく影響を受けるからです。
シェア獲得の戦術は様々ですが、その一つに、知的財産権の活用があります。
知的財産権は独占権です。
サムスンの特許侵害が認められれば、サムスン製品は市場から姿を消し、代わりにアップル製品が売れる。これによって、アップルのシェア率が上昇することをアップルは狙っているのです。