おはようございます。
弁理士の渡部です。
デザイナーにチラシのデザインを制作してもらいました。
とてもよい出来なのでホームページにも掲載したところ、デザイナーから「ホームページに掲載することは著作権の許諾範囲外であるので辞めていただきたい。」と言われてしまいました。
このような相談を受けることがあります。
著作権の話をすると、チラシのデザインの著作権はデザイナーに帰属し、デザイナーが許諾した範囲でそのデザインを利用することができます。
デザイナーがチラシにだけ利用を認めている場合は、ホームページにデザインを使うことはできません。
こういうルールになっているので仕方ないですね、という回答では、法律問題は解決しても、根本的な問題は解決しないのです。
発注者はこう考えています。
お金を払って制作してもらったのだから、デザインは自由に使えるはずではないか、と。
こうした考えは、商品を購入した場合、その商品をどのように使うかは購入者の自由であるというルールに根付いています。
もちろん、商品の取引と著作権の取引のルールは別々の法律で規定されているので、きちんと区別して考えなければなりません。
このケースでは、デザイナーもきちんと対応すべき点があります。
デザイナーは、発注者がデザインを自由に使えるだろうと期待していることを理解し、制作を引き受ける場合、その期待どおりにならないときは、ホームページには使えないことを発注者に説明することです。
この事例の問題は、発注者はホームページへの掲載は辞めるが、そのデザイナーとは今後取引をしない、という結果に終わることが多いのです。
顧客に著作権を行使し取引を失う結果は、デザイナーにとっては決してよい結果とはいえないでしょう。
発注者の理解を丁寧に得るという下地作りが欠かせません。
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