おはようございます。
弁理士の渡部です。
会社の商号とは、法人登記簿謄本に記載される正式な名称で、例えば「インター・シティ株式会社」がこれに該当します。
商標法には、「他人の名称」や「他人の名称の著名な略称」を含む商標は、登録を受けられないと規定されています。
「他人の名称」や「他人の名称の著名な略称」には、どういうものが該当するのでしょうか。
先の例でいえば、「インター・シティ株式会社」は、「他人の名称」に該当します。
すなわち、「インター・シティ株式会社」(会社A)の設立後は、会社A以外の会社は、例え自社が同一の名称を採用していたとしても、会社Aの承諾なしに「インター・シティ株式会社」という商標について登録を受けることはできません。
次に、実はより問題となるのは、「他人の名称の著名な略称」の方です。
「インター・シティ株式会社」のうち「インター・シティ」の部分は、「他人の名称の略称」に該当します。
「インター・シティ」は、いわゆるハウスマークといわれる部分です。
例えば、「ソニー株式会社」の「ソニー」や「トヨタ自動車株式会社」の「トヨタ」などもハウスマークです。
会社の名称と異なるのは、「著名」という要件が入っている点です。
すなわち、会社Aの設立後であっても、会社A以外の会社は、「インター・シティ」が会社Aの略称として著名でない限り、「インター・シティ」という商標について登録を受けることができます。
ハウスマークを商標として使用する場合は、商号登記だけでは不十分であり、商標により保護することが必要となります。
商号登記をしているから安心!といわれる方が多く、意外と知られていない、それでいてブランド戦略上重要なポイントです。