こんにちは。
弁理士の渡部です。
巷で話題沸騰の商標トロールですが、大きな問題は、料金を支払わずに(払っていても極めて少額)商標出願をし続けているところにあります。
料金を支払わないと出願が却下されますが、商標トロールは、却下される前にまた料金を支払わずに分割出願を行うということを繰り返しています。
そして、どこかで誰かの商標出願が引っかかった場合に、その企業に対しライセンス交渉を行い、高額な費用を請求するようです。
引用:無関係の「商標出願」繰り返す企業、ついに「ペンパイナッポーアッポーペン」も!
ピコ太郎さんの大ヒット曲「Pen-Pineapple-Apple-Pen(PPAP)」で使われるフレーズ「ペンパイナッポーアッポーペン」などが、大阪府内にある無関係の企業によって商標出願されていたことがわかった。
でも、不思議に思いませんか。
分割出願を行った場合に、元の出願で支払うべき出願料はどこにいってしまうのでしょうか。
例えば、1万件の商標出願を行い、そのうち9,500件は出願料を支払わず、残りの500件についてライセンス契約が成立することで出願料を支払って商標登録を行うことがまかり通っていたとしたら、真面目に出願料を支払って商標登録を得ている企業と比べてフェアーとはいえません。
ところで、本件のようにビジネスかどうか疑わしい事件として、外れ馬券を経費に含められるかどうかで最高裁まで争われた事件がありました。
この事件では、被告は30億円も外れ馬券のために出費しています。
やっていること自体は決して褒められるものではありませんが、30億円も出費し利益を上げていますので、大きなリスクを取っています。
これに対し、巷で話題沸騰の商標トロールは、外れ馬券を買っていません。
当たった場合だけ、当たり馬券代を支払っているというわけです。
特許庁も、きちんと10,000件分の出願料を支払わないと商標登録や譲渡を認めないとするような毅然とした対応をとってもいいかもしれません。
条約の関係や他とのバランス等で難しいのかもしれませんが、これだけ社会問題として取り上げられているのですから何らかの対応が必要ではないでしょうか。
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