おはようございます。
弁理士の渡部です。
Yahoo!は、今月、自社が所有する10件の特許をフェイスブックが侵害したとして、フェイスブックを相手取り提訴しました。
どのような背景のもと、Yahoo!が訴訟に至ったのでしょうか。
市場では、業績不振のYahoo!が、株式公開を控えるフェイスブックを狙い撃ちしたとの見方が強く、初のSNSメディア大手同士の法廷闘争になると伝えられています。
これに対し、フェイスブックは、IBMから750件の特許を取得(購入)しました。
特許の保有数を増やすことで、Yahoo!からの特許侵害の指摘に対し守りを固める方針です。
さて、特許の保有数を増やすことで、どうして守りを固めることにつながるのでしょうか。
いま、フェイスブックは、Yahoo!が所有する10件の特許を侵害しているとします。
そうすると、フェイスブックは、侵害している特許の技術を使うのを止めるか、Yahoo!が許諾する場合は、侵害している特許についてライセンス料を支払わなければなりません。
一方、Yahoo!は、今回フェイスブックがIBMから取得した特許のうち10件の特許を侵害しているとします。
そうすると、Yahoo!も、フェイスブックと同様の状況におかれることになるのです。
この場合、フェイスブックもYahoo!も強い姿勢を崩さなければ、互いが、相手の特許の技術を使えなくなるという事態に陥ります。
これでは、互いのデメリットが大きすぎるので、多くの場合、クロスライセンスといって、お互いが相手の特許の技術を使用することを認め合うことで紛争を解決します。
フェイスブックは10件の特許を侵害していますが、Yahoo!が侵害している特許の件数の方が多い場合は、どうでしょうか。
形勢逆転です。
Yahoo!は、10件を超える分については、先の状況と同様に、侵害している特許の技術を使うのを止めるか、フェイスブックが許諾する場合は、侵害している特許についてライセンス料を支払わなければなりません。
実際には、単純に特許数の多い少ないで勝敗が決まるわけではなく、1つ1つの特許の貢献度等を考慮してお互いが話し合うのですが、特許を持っていなければ、そのステージにすら立てないというわけです。
現在、フェイスブックは、そのステージに立つべく必死に対策を講じているところでしょう。
初のSNSメディア大手同士の法廷闘争ですので、今後の動向が注目されます。