おはようございます。
弁理士の渡部です。
フランク三浦の事件が最高裁で決着したようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06HAF_W7A300C1CR8000/
フランク三浦もマリカーも、有名な先行企業のマネをしたとして話題となりましたが、フランク三浦は勝訴し、一方のマリカーは旗色が必ずしもいいとはいえません。
両者の違いは一体どこにあるのでしょうか。
それぞれの事件の内容をおさらいしながら違いを見てみましょう。
フランク三浦はどんな事件か
フランク三浦の事件は、フランク三浦が取得した商標登録が無効であるとして、フランク・ミュラーが訴えた事件です。
理由は、フランク三浦の商標がフランク・ミュラーの商標と似ているというものです。
2つの商標が似ているかどうかが争われたわけですが、裁判所は、似ていないと結論づけました。
この理由は、ざっと分かりやすく、似ている度合いをポイントで表すと次のとおりです。
・フランク三浦とフランクミュラーは読み方が似ている(+1)
・「三浦」という漢字が使われているので見た目では区別できる(-1)
・「三浦」は人の名字を連想させるので意味の点でも区別できる(-1)
・時計のブランド名は見た目や意味でも記憶され、読み方だけが特別重要なわけではない(-1)
今回の判決で裁判所がフランク三浦の商法にお墨付きを与えたわけではありませんが、商標が似ていないと判断されたことで、フランク三浦はその名前の時計を販売し続けることができます。
なお、事件の詳細はこちらの記事「フランク三浦にみるビジネスの危うさ」をご覧ください。
マリカーはどんな事件か
一方、マリカーの事件は、著作権侵害のほか、不正競争防止法違反であるとして任天堂が訴えた事件です。
著作権の問題と不正競争防止法の問題はポイントが異なり、本来はそれぞれ解説しないといけないのですが、本稿では、2つの事件の違いを分かりやすくするため、商標の制度に近い「不正競争防止法の問題」に焦点を当てて2つの事件を対比します。
マリカーの事件では、誰が見ても任天堂のキャラクターであると分かる衣装をレンタルし、サービスを提供する行為が問題とされています。
フランク三浦の件とは対象が異なるものの、キャラクターをマネしているかどうかが争われている点で共通しています。
なお、事件の詳細はこちらの記事「公道を走る『マリカー』、ついに任天堂から訴えられる…著作権侵害」をご覧ください。
2つの事件を分ける要素は何なのか
2つの事件で問題となるは、消費者がフランクミュラーの時計と間違ってフランク三浦の時計を購入してしまうかどうか、他方は、消費者が任天堂のサービスと間違ってマリカー社のサービスを購入してしまうかどうか、という点です。
すなわち、消費者の立場に立って消費者が間違えるかどうかという点が問題になります。
この点、フランク三浦の事件では、「三浦」という漢字を用いていることから、消費者が明らかに区別できると判断しています。
これに対し、マリカー事件では、そのように明確に違うと分かるものが乏しいため、消費者が明らかに区別できるとはいえないかもしれないという違いがあります。
このような表示(フランク三浦でいう「三浦」のような表示)は、消費者が間違って購入するかどうかを分ける重要な要素になってきます。
マリカーの事件は、まだ裁判所の判断が出ていませんが、このような表示があるかどうかが結論に大きく影響する要素の一つといえるでしょう。
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