おはようございます。
弁理士の渡部です。
本日は、先のブログ「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム『特許が無効になってしまう』」の続きで、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの特許を救う方法についてお話します。
無効理由を有する特許は、訂正審判という審判を請求し、クレームを訂正することにより有効な特許に回復することができます。
特許の出願時において物を構造・特性により特定することが可能であったプロダクト・バイ・プロセス・クレームはどのように訂正すればよいでしょうか。
正面から考えれば、製法で特定されている記載を、構造・特性により特定する記載に訂正すればよい、ということになります。
例えば、「発泡シリコーンゴムは、液状シリコーンゴム混和物を発泡及び硬化させて形成したものである」という記載を、「発泡シリコーンゴムは、発泡倍率が7cc/g以上で、厚みが0.05~2.5mmである」という記載に訂正します。
しかし、クレームを訂正する場合は、厳格な条件を満たすことが要求されています。
一旦成立した特許が訂正により特許の範囲が広がったり変わったりしてしまうと、第三者への影響が大きいからです。
訂正の内容は、最初に提出した出願書類に記載されている内容に限られるというのも条件の一つになります。
ところが、プロダクト・バイ・プロセス・クレームは、権利者が特許の出願時において物を構造・特性により特定することが難しいという事情があるからこそ、プロダクト・バイ・プロセス・クレームを用いたわけで、物を構造・特性により特定する記載に訂正しようと思っても、最初に提出した出願書類に記載されていないことが多いのです。
正攻法で訂正することが難しいとなると、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの特許については無効を回復することが事実上できないのか、ということになってしまいます。
次回は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの特許の訂正方法についてお話します。
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