おはようございます。
弁理士の渡部です。
ロッテリアが販売していたご当地ポテトフライが、香辛料販売老舗の原了郭が持っている「黒七味」の商標権を侵害したとの報道を目にしました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151029-00000088-sph-soci
記事をざっと読んだ印象として、「なぜ侵害なのだろうか?」という疑問が浮かんだので、本事件について少し踏み込んで調べてみました。
■本当に侵害なの?
商標権を侵害するかどうかは、大きく2つの点を考えます。
一つ目は、ロッテリアが使用する商標が、原了郭の商標「黒七味」と似ているかどうかです。
すなわち、商標同士を比べて、似ているかどうかを判断します。
この点、ロッテリアのご当地ポテトフライには「京都黒七味風味」と小さく表示されており、原了郭の商標「黒七味」が含まれている点で似ていると判断したものと考えられます。
二つ目は、ロッテリアが商標を使用する商品が、原了郭の商標「黒七味」を使用する商品と似ているかどうかです。
すなわち、商品同士を比べて、似ているかどうかを判断します。
原了郭が持っている「黒七味」の商標権について特許情報プラットホーム「J-PlatPat」で調べてみたところ、次の2つの商標登録が見つかりました。
商標登録第4224606号「京都祗園名物 黒七味 本家 原了郭製」
商標登録第5157375号「黒七味」
これらの商標登録では、商標を使用する商品として「香辛料」が指定されています。
このため、ロッテリアの商品「ポテトフライ」が、原了郭の商標「黒七味」を使用する商品「香辛料」と似ているかどうかということになりますが、商標の実務では、これらは似ているものとは取り扱われません。
そうすると、商標同士は似ているが、商品同士は似ていないということになるので、この場合は、商標権を侵害しないことになります。
商標同士が似ているだけでなく、商品同士も似ていて初めて商標権を侵害することになるからです。
では、「ロッテリアが商標権を侵害した」との報道は正確ではないのでしょうか?
実はこの事件、そう簡単に結論づけられるものではなく、奥が深いのです。
続きはまた後日のブログでお話します。
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