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中小企業が特許訴訟を行う場合

おはようございます。
弁理士の渡部です。


中小企業が特許訴訟を行う場合って、どのような場合でしょうか。
というのも、特許訴訟は簡単ではないからです。
大きな理由を挙げるとすると、次の3つの理由があります。


1つ目は、訴訟費用の問題です。
訴訟には数百万の訴訟費用がかかります。
これは、中小企業であっても大企業であっても同じで、中小企業だから訴訟費用が安くなることはありません。


2つ目は、無効の問題です。
特許訴訟を行うと、多くの場合、相手方は対抗措置として特許が無効であると主張します。
意外かもしれませんが、特許は、かなりの確率で無効になります。


3つ目は、損害賠償額の問題です。
特許訴訟で多額の損害賠償が認められる報道を目にすることがありますが、我が国の法律では、損害賠償は、字のごとく自社が被った損害を賠償する金額しか支払われません。
つまり、特許訴訟を行って勝訴しても、収支がプラスになるのではなく、マイナスだったものがゼロに戻るという制度です。


ここまでお話しすると、「では、特許など取らずに事業を行った方がよいのではないか?」とうご質問を受けることがあります。


確かに、特許の活用方法のなかに特許訴訟という選択肢はあります。
「自社だけが技術を独占するために特許を取得し、模倣品が出てきた場合に特許を行使して止めさせる」という制度の趣旨からしても、模倣品を止めさせることが容易に実現できることが期待されているので、特許訴訟の選択肢は大きいといえます。


しかし、特許が企業にもたらすメリットは、特許訴訟以外にも数多くあり、そうした他の選択肢もきちんと知った上で、特許を取得するかどうかを決めるのがよいと考えています。


一つの例をご紹介しますと、ある中小企業の社長は、特許が自社にもたらすメリットについて次のように述べています。


中小企業は、特許の費用が、売上という効果につながるのかを問題にすることがありますが、特許は売上に直結しなくても、大切な3つの効果を生みます。
その3つとは、(1)社員教育への活用、(2)特許を持つという信頼から他社と差別化できる、(3)金融機関からの信用です。



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