おはようございます。
弁理士の渡部です。
五輪マスコットの着ぐるみなど、キャラクターを立体的に表現することがあります。
このように立体的なキャラクターについては、立体商標という商標登録を取得することができる場合があります。
立体商標の登録例
まず、立体商標としてどのような登録が認められているか見ていきましょう。
ホンダのスーパーカブです。バイクのかたちが立体商標として認められています。
商標登録第5674666号
ヤクルトの容器とコカコーラの瓶です。飲み物の容器のかたちが立体商標として認められています。
商標登録第5384525号 | 商標登録第5225619号 |
テトラポッドです。海岸でよく見かける消波ブロックのかたちが立体商標として認められています。
商標登録第4639603号
不二家の「ペコちゃん」とケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース」です。広告人形のかたちが立体商標として認められています。
商標登録第4157614号 | 商標登録第4153602号 |
楽天イーグルスのマスコット人形の「クラッチくん」です。本記事のテーマであるキャラクターの人形のかたちが立体商標として認められています。
商標登録第5033791号
商標登録の保護は半永久
先のブログ「五輪マスコット、商標登録と著作権による2重の保護」では、五輪マスコットのキャラクター(五輪キャラクター)は商標登録と著作権の2重の保護が受けられることを説明しました。
商標登録で保護するメリットは、先のブログ「五輪マスコットキャラ、なぜ商標登録が必要なのか」でご紹介したメリットのほか、半永久的に保護することができるというメリットがあります。
著作権の有効期限は、作者の死後50年となっていますので、大体孫の代になると消滅してしまいます。
消滅すると、パブリックドメインとして誰でも利用することができます。
これに対し、商標登録の有効期限は、一旦10年となっていますが、更新手続を繰り返す限り半永久的に保持することができます。
したがって、商標登録で保護できれば、半永久的にキャラクターを保護することができるので、これが商標登録で保護する大きなメリットといえます。
商品との関係では高い使用実績が求められる
しかし、半永久的な保護が受けられるため、立体商標は簡単には登録が認められません。
例えば、どら焼きのかたちが立体商標として認められてしまうと、どら焼きを自由に作って売ることができず、多くの企業が困る事態が生じるからです。
このため、商品のかたちを表すような立体商標は、「あのかたちの商品といえばA社の商品だよね。」というような印象を多くの消費者に持ってもらえるほどの実績がある場合に限り認められます。
上の例では、スーパーカブ、ヤクルトの容器、コカコーラーの瓶、テトラポッドがそれです。
五輪キャラクターの場合も例外ではなく商品によっては高い使用実績を求められますが、長期間使わなければ商標登録が認められないのかというと必ずしもそうではありません。
オリンピックのような大きなイベントでは、報道やCM等によって短期間で著名となる可能性もありますので、五輪キャラクターを使用する前に立体商標の出願をしておき、その後五輪キャラクターの使用を開始し、商標の審査中に著名になれば商標登録を受けることができるというストーリーも不可能ではないでしょう。
使用実績が求められないケース
一方、商品との関係では、使用実績が求められないこともあります。
上の例では、ペコちゃんやカーネルサンダースがそれです。
まとめ
五輪キャラクターでしょうから、おそらく全区分を指定して商標登録を取得しようとすることが想定されます。
このうち商品によっては、すぐに登録が認められる部分もあれば、高い使用実績が求められてなかなか登録が認められない部分もあるでしょう。
もし立体商標を出願するとしたら、どのように取得していくのか戦略的な検討が必要です。
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