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五輪マスコットキャラ、なぜ商標登録が必要なのか

こんにちは。
弁理士の渡部です。


先のブログ「五輪マスコット、商標登録と著作権による2重の保護」で、五輪マスコットのキャラクター(五輪キャラクター)は商標登録と著作権の2重の保護が受けられることを説明しました。
商標登録は特許庁で登録を受けなければ取得できないのに対し、著作権はキャラクターを制作するのと同時に発生し取得することができます。
このように著作権では自動的に保護を受けることができるのに、なぜ敢えて商標登録まで取得する必要があるのでしょうか。


それは、著作権は商標登録に比べて弱い権利であるという点があり、オリンピックのような大きなイベントで商品販売を展開する場合にこの点が足を引っ張ることがあるからです。


著作権には弱点がある


著作権の弱さを理解するために、次のことを押さえておきましょう。
知的財産権には、相対的独占権と、絶対的独占権という区別があります。
ちょっと難しい言葉ですが、分かりやすく説明します。


著作権は、相対的独占権になります。
相対的独占権とは、同じキャラクターであっても、他社が五輪キャラクターを真似しないで独自に制作したキャラクターであれば、五輪キャラクターの著作権には抵触しないという性質の権利です。
このことは、他社に対し五輪キャラクターと似たキャラクターを使わないでと主張するときに制約になります。
すなわち、五輪キャラクターを見たり聞いたりして”真似”したかどうかという事実が必要となり、真似したのであれば五輪キャラクターの著作権に抵触するが、真似していないのであれば五輪キャラクターの著作権には抵触しないということです。


これに対し、商標権(商標登録の権利のこと)は、絶対的独占権になります。
絶対的独占権とは、真似したかどうかの事実は関係なく、キャラクターを見比べてそれらが似ていれば、五輪キャラクターの商標権に抵触するという性質の権利です。


もめ事を簡単に解決するために


したがって、著作権だけでは、真似したかどうかの事実が必要であることから、もし他社が真似したことを認めない場合は、他社が五輪キャラクターを真似したかどうかを証明しないとならず、もめ事が簡単に収まらないケースがあります。
しかし、商標登録も取得しておけば、真似したかどうかの事実について争うことなく、キャラクター同士を見比べて似ている場合は、使うのを止めてということができますので、もめ事が収まりやすいというメリットがあります。


オリンピック関連商品は山のように出ますから、もめ事が簡単に収まることはとても重要なことです。
ですから、キャラクター商品を展開する場合は、商標登録も手堅く取得することがビジネス上のリスクを少なくする上で得策です。



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