おはようございます。
弁理士の渡部です。
特許出願の件数が年々減少しています。
事実、2004年は年間40万件だったのが、2014年は32万件まで落ち込んでいます。
こうした情報も、受け取る人によって判断への活用が異なります。
例えば、出願件数が減少したのは、不況で多くの企業が特許に投資できない、特許取得が難しく撤退する企業が多くなっている、事業における特許の価値が低くなっているなど。だから、自社は、特許など出願しないと判断する。
これに対し、出願件数が減少したので、競合他社の開発が縮小し特許が取りやすくなった、競合他社よりも特許を保有できるチャンスであり、市場での競争力や対外的評価を高めることができる。だから、自社は、特許を取得するために積極的に投資を行おうと判断する。
どちらの判断をする人が多いでしょうか。
ところで、そもそも特許って、何でしょうか。
事業では、競合他社にはない自社だけの技術やアイデアを活かした商品を市場に投じ、消費者に魅力をもってもらい、商品をたくさん売って利益に結びつけることを計画・実行します。
しかし、商品がヒットし始めると、類似品が市場に出てきて、競合他社と利益をシェアすることなります。
これを防止するのが特許の役割です。
特許があれば、類似品の製造・販売を阻止することができ、市場の多くの利益を自社が回収することができます。
ここまでは教科書のお話です。
このプロセスのなかで大切なことは、「競合他社にはない自社だけの技術やアイデア」を持つ、ということです。
これがなければ、競合他社との差別化がなく市場で利益を上げることはできません。
当然、特許を取得するかどうかの検討にもたどり着けません。
「競合他社にはない自社だけの技術やアイデア」を持つということは、「他人がやらないこと」をするということです。
「他人がやらないこと」をしたからといって成功するとは限りませんが、「他人がやらないこと」をしないと成功はあり得ません。
これが簡単ではないこともまた事実です。
普段から練習が必要だと思います。
例えば、一つの情報を判断材料とする場合も、思ったまま感じたままに判断をするのではなく、多くの人がどういう判断をするかを考え、これと自分の判断を対比してみる、というプロセスを経ることも練習の一つになるのではないでしょうか。