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公道を走る「マリカー」、ついに任天堂から訴えられる…著作権侵害

こんにちは。
弁理士の渡部です。


ここ最近、知的財産がからんだ事件が多いですね。
それだけ知的財産が世間で認知されるようになってきたということでしょうか。


さて、今回取り上げるのは「マリオカート」の事件です。
ゲームの話題になると筆がとても進みます。マリオカートシリーズのファンとしては、取り上げられずにはいられません。



引用:公道を走る「マリカー」、ついに任天堂から訴えられる…著作権侵害など


任天堂(京都市)は2月24日、公道カートのレンタル会社「株式会社マリカー」が、マリオなどのキャラクターの衣装を貸し出したうえで、その画像を許諾なしに宣伝・営業に利用し、著作権などを侵害しているとして、損害賠償1000万円(一部請求)を求めて東京地裁に提訴した。



コスプレというと、個人的に衣装を作ってイベントで披露して楽しむというのが一般的なイメージです。
こうした個人で楽しむ小規模な範囲についてはこれまでメーカーが声を上げることはあまりなかったように思います。


ところが、報道で提訴されたとする「株式会社マリカー」は、ビジネスとしてやっているというのだから驚きです。
何が驚きか。誰が見ても明らかなように、マリオカートのキャラクターを利用してサービスを提供し、利益を上げているのに、任天堂に無許諾でやっていたという点です。


私のところにも、他社のキャラクターを利用してビジネスを行いたいという相談があります。
しかしどのご相談者も、他社のキャラクターを利用してビジネスを行いたいが、どのように許諾をとったらよいのか、ライセンス料はいくらぐらいなのかといった内容で、無許諾でやりたいが問題ないかという相談は皆無です。


報道では、話し合いを続けてきたけれども誠実に対応してくれず、やむを得ず提訴に踏み切ったということが伝えられています。


マリオカートのキャラクターを個人的な範囲を超え他社が事業で利用するというのは、大きな影響があります。
一つには、任天堂のサービスであると誤認されてしまうことです。
任天堂が提供しているサービスであると誤認されてしまった場合、もしサービスの内容が悪ければ、任天堂が長年の企業努力により作り上げた信用が損なわれます。
任天堂としては、自社の信用に影響を与えることは自社がきちんとコントロールしたいという気持ちが当然あるわけです。


もう一つは、利益についてです。
マリオカートのキャラクターを利用して得られた利益は、本来、任天堂も受けられるべきです。
報道の企業がどれほど利益を上げているか分かりませんが、重要なことは、これに黙認することで同様の他社が今後多数現れてしまうことを防止することです。


他社のコンテンツを利用してビジネスを行う場合は、他社の立場に立って他社の事情に深く配慮することが必要です。
結局それは、法律上のグレーゾーンを通らないということに他なりません。
事業を行うにあたって、著作権侵害にならないかもしれないが解釈によってはなるかもしれないという危ないラインを歩かないことです。


報道の企業の行為が著作権侵害なのか不正競争防止法違反なのかについては、以下の記事で詳しく述べられていますので、ご興味がある方は併せてご覧ください。



引用:任天堂が「マリカー」提訴、本当に「著作権侵害」「不正競争防止法違反」なのか分析


任天堂側は「著作権侵害」や「不正競争防止法違反」などを主張しているが、今回のケースで、どのような点がポイントになるのか。著作権の問題に詳しい齋藤理央弁護士に聞いた。




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