おはようございます。
弁理士の渡部です。
「iPad」のブランドで世界的に展開しているアップル社。
中国では、商標権の侵害を理由にアップル社製「iPad」の販売が中止に追い込まれています。
中国における商標「iPad」の商標権は、中国の深センに本社を置く唯冠科技という企業が、アップル社製「iPad」が発表される数年前に登録申請し、取得したものだということです。
一審では、唯冠科技の主張を認める判決が出てしまいましたので、アップル社は、中国からの撤退又は別の名称での販売のいずれかを選択しなければならない状況となっています。
さらに追い打ちをかけるように、唯冠科技は、中国でのアップル社製「iPad」販売を禁止するだけでなく、中国からのアップル社製「iPad」の輸出を禁止するよう訴訟を起こしました。
アップル社製「iPad」は、台湾企業に製造が委託されていますが、その組み立て工場は、深センなど中国国内にあります。
したがって、中国からのアップル社製「iPad」の輸出が禁止されてしまえば、世界へのアップル社製「iPad」の出荷そのものをストップさせることを意味します。
http://news.mynavi.jp/news/2012/02/17/069/
一方で、唯冠科技は、「iPad」の名称でパソコンを製造・販売しているようです。
http://rocketnews24.com/2012/02/17/183964/
今年3月に次期製品「iPad3」の発売が予定されるなか、中国での商標問題の行方が気になるところです。
我が国においても、先に使用していた者ではなく、先に特許庁に出願をした者に対し商標権を付与する先願・登録主義を採用しています。
商標は企業にとってブランドの命綱ですから、決して対岸の火事ではないのです。