おはようございます。
弁理士の渡部です。
本日は、先のブログ「商標トロール『規制すると困る善意の企業もいる』」の続きです。
商標トロールの活動は、私たちの仕事にも影響がでることがあります。
お客様から依頼を受けた商標について、出願前にその商標が登録を受けられるかどうかを商標調査するのですが、商標トロールが分割出願している商標とバッティングすることがあるからです。
特許庁では、「自社の商標について商標トロールの出願があっても、自社の商標登録を断念されることのないようご注意ください。」と注意を喚起しています。
しかし、最終的には商標登録を受けられるかもしれませんが、そこに至るまで商標制度が保証する仕組みのなかで調整が必要となるので、時間も費用もかかり、商標トロールからライセンス料を請求されるというリスクもあります。
お客様にはこれらの事情を説明した上で、商標を変更するか、時間をかけてでも商標登録を進めるかを大きな方針として検討いただくことになります。
商標トロールの出願が全体の1割もあると、このようなケースに遭遇することも珍しくなく、私たちの仕事にも影響が出てきています。
国による対策も求められているところですが、商標制度では「先に出願した者に権利を付与する」という先願主義が採用されているので、企業の皆様には、商標トロールに遭遇しないように早期に商標登録を取得し、事業の安心を守っていただきたいと願う次第です。
次回は、本記事の続きとして「商標トロール『企業にもできる自衛策』」についてお話します。
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