おはようございます。
弁理士の渡部です。
昔と違って、現在は、グローバル化などで市場の変化が大きい時代です。
したがって、企業の事業内容もずっと同じではなく、事業拡大したり変更したりしていきながら、市場の変化に対応しています。
商標登録は、事業で使う商標を守るためのものです。
昔のように事業の変化があまりない時代では、商標登録を取得すれば、商標登録の保護範囲と事業内容にずれが生じないので、長い期間にわたって商標登録をそのまま保持していても問題はありませんでした。
ところが、商標登録は、取得した後に保護範囲を変更する手続が認められていない一方で、現在の事業内容は変化があることから、時間が経つと、商標登録の保護範囲と事業内容にずれが生じてきます。
ずれが生じるとどういうことになるかというと、いつの間にか商標が使えなってしまった、という状況にもなり得ます。
このため、商標登録の保護範囲と事業内容が一致しているかどうかを時々見直すことが大切になってきます。
つまり、自動車や生命保険と同じように、定期的にメンテナンスが必要になってくるわけです。
でも、定期的なメンテナンスは面倒です。
もし、商標登録を取得するときに、事業内容がどう変化するかを考慮して、将来の事業でも商標が使えるように商標登録を取得することができれば、メンテナンスの必要性も少なくなり、いつの間にか商標が使えなくなるというリスクも同時に少なくできるのではないでしょうか。
こうした要望に応え、当事務所では、商標レコメンドシステムを開発し、運用しています。
商標レコメンドシステムは、特許庁で発行された商標公報の公報データを統計処理し、現在の事業で取り扱っている商品やサービスだけなく、これから派生しやすい商品やサービスが分かるようになります。
例えば、現在の事業で「おもちゃ」を取り扱っている場合、これまでのやり方であれば、「おもちゃ」という商品を指定し、おもちゃの製品名について商標登録を取得していました。
これに対し、商標レコメンドシステムでは、「おもちゃ」と入力すると、「文房具類」「印刷物」といった商品がレコメンドされます。
これってどういう意味かといいますと、「おもちゃ」を取り扱っている事業は、将来、文房具や書籍なども取り扱う事業に派生しやすいということです。
ですから、商標登録を取得するときに、「おもちゃ」だけでなく、「文房具類」や「印刷物」についても指定しておけば、将来の事業の変化に対応できる、というわけです。
現在、商標レコメンドシステムの改良を進めています。
以下は、開発中の画面です。
入力欄は一つだけとシンプルな構成ですが、得られる結果は、専門家でも驚くことがあり、一つひとつ改良が進むごとにワクワクしています。