おはようございます。
弁理士の渡部です。
先のブログ「TPP協定を担保するための商標法改正」にて、商標権を侵害した場合の損害賠償請求について、TPP協定を担保するための商標法改正が、特許庁の産業構造審議会で検討されていることをお伝えしました。
本日は、この新たに検討されている規定が、現在の損害賠償請求の規定とどのような関係にあるのかを、事例に沿って分かりやすく説明します。
商標権侵害の損害賠償請求については、民法の規定によることになりますが、商標法に3つの特別な計算方法が規定されています。
(1)計算方法1
商標権者の販売する菓子の販売額が1箱あたり800円で、このうち利益(売上から経費を差し引いた額)が300円である場合に、侵害者が類似商標を使用した菓子を10,000箱販売したとすると、損害賠償額は、300円×10,000箱=300万円となります。
(2)計算方法2
侵害者が菓子の販売によって得た利益が全部で250万円だとすると、損害賠償額は、250万円となります。
(3)計算方法3
侵害者の総販売額が800円×10,000箱=800万円なので、ライセンス料の率を5%とすると、損害賠償額は、800万円×0.05=40万円となります。
(4)TPPの新たな計算方法4
これに対し、TPP協定担保のために検討されている新たな規定では、商標登録を取得するのに20万円かかり、これを5年間維持するのに5万円かかったとすると、損害賠償額は、20万円+5万円=25万円となります。
計算方法1の方が最も高額なので計算方法1で損害額を請求すればいいではないかと思うかもしれません。
明日は、計算方法1~4の位置づけについてお話しします。
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