おはようございます。
弁理士の渡部です。
本日は、先のブログ「商標を使っていないと権利行使に制限がある」の続きです。
この話、何か違和感を覚えませんか。
ここで終わっては、商標制度って変な人が作った制度なんだね、って話になってしまいますので、親の気持ちと商標制度の目的にズレがあることをまとめとしてお話しします。
皆さん、商標登録って名称を保護する制度だと思っていることでしょう。
確かにそれはそれで間違いではないのですが、商標制度が本当に守りたいのは実はブランドです。
企業がいい商品を販売すればお客様からいい評判を受け、企業の信用が増えていきます。
信用の高い企業の商品は、よく売れるようになります。
この信用がブランドです。
信用があるなしで商品の売れ行きが大きく変わるので、信用は正に企業の財産です。
信用はかたちとして捉えることはできませんが、企業や商品の名称を通じてお客様に記憶されます。
かたちのない信用そのものは保護することが難しいのですが、信用と紐付いている名称だったらかたちとして捉えることができます。
そこで、商標登録は、信用と紐付いている名称を保護しようというのです。
ですから、信用と紐付いている名称については手厚い保護を与えますが、信用と紐付いていない名称については保護する意味があまりないと考えています。
つまり、名称の背景にある信用(=ブランド)によって名称を保護するかどうかを区別しているのです。
したがって、名称を使って商品を販売していない場合は、お客様から信用が得られておらず、”信用に紐付いた名称”とはいえないので、上記のお話のように、権利行使が制限されたり取り消されたりしてしまうのです。
親は、子供の氏名を守りたいという気持ちがあるのに対し、商標制度は、ブランドを守りたいということなので、根幹の思いの点で大きなズレが生じています。
商標登録は、名称を守る制度であることに間違いありませんが、ブランドとは無縁の子供の氏名まで保護する制度ではないので、過大な期待はせず、子供の氏名について商標登録が取得できて記念になった程度に止めておくのがよいでしょう。
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