おはようございます。
弁理士の渡部です。
商標の案件では、拒絶理由通知を受けても通常は1回で決着することが多いところ、珍しく2回目の拒絶理由通知を受けました。
拒絶理由通知の内容を見たところ、審査官が無理な認定を行っており、審査官の認定が不適切であるとの印象を受ける内容でした。
こういう場合、反論して正当性を主張すべき、というふうに私たちは受験勉強の過程で教わっているので、反論して戦うという提案を顧客にしがちです。
ですが、私は、拒絶理由通知を受けたときに審査官の真意がどこにあるのかということを探るために、拒絶理由通知を何度も読むし、読んで読んで分からないときは審査官にコンタクトして直接話を聞くようにしています。
今回受けた拒絶理由通知も、無理があると感じたところを少し踏み込んで考えてみると、無理をしなければならない事情が本件商標にはあるのかもしれないと考えが及びます。
本件商標には周知性がありました。
ですので、審査においては、本件商標の所有者以外の人が商標登録を取得しないように配慮しなければなりません。
しかし一方で、周知性といっても商品やサービスとの関係が薄いので、他人の周知商標であるなどの拒絶理由を適用することが難しい側面があります。
かといって、出願人と所有者が同一であることを確認しないまま商標登録を認めることも躊躇があるというような事情があるのかもしれないと考えました。
このように自分のなかで状況を整理してみた上で、本当のところは審査官に聞かないと分からないので、審査官にコンタクトすることにしました。
先入観で話をするわけではないのですが、自分なりに情報を整理した上で話を聞くと、案外その方向性に真意があることが多く、今回もそうでした。
法律上は、審査官の認定が間違っていることを反論すればよい事例なのかもしれませんが、審査官への対応としては、2つの選択肢がこれでできたわけです。
1つ目は、反論。
2つ目は、審査官の認定を尊重し、審査官が安心して商標登録を認めることができる証拠を提出するという選択肢です。
次回は、「審査官と一緒に商標登録を成立させる取り組み」についてお話しします。
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