おはようございます。
弁理士の渡部です。
標準文字については、文字そのものに権利が及ぶという誤解がしばしあるようです。
標準文字とは、商標登録の出願書類にテキストで商標をタイプすると、そのまま出願することができるというものです。
例えば、当事務所の商標「将星国際特許事務所」について商標登録を取得したい場合、出願書類に「将星国際特許事務所」とテキストをタイプすればよいのです。
標準文字ができる前は、商標見本を作成し出願書類に貼り付けていました。
これが結構面倒な作業でしたので、この作業を簡単にしましょうということでできたのが標準文字制度です。
標準文字制度ができてから、文字だけの商標は出願書類の作成が楽になりました。
しかし、特にフォントなどを指定するわけでもなくテキストをタイプするだけの作業なので、文字そのものに権利が及ぶという誤解につながっているようです。
つまり、この誤解は、(フォントの指定のない)文字として商標登録を受けているのだから、あらゆるフォントで表示した商標に権利が及ぶはずである、というものです。
この点は、標準文字制度をもう少し紐解くと、標準文字制度は特許庁が指定したフォントで出願したことになる制度です。
特許庁があらかじめ各文字ごとにフォントを指定してあって、入力した文字に対応するフォントの文字で商標登録を受けることになります。
ですから、フォントの指定は実はあるのです。
さて、昨年末にバージョンアップされた特許庁のオンラインソフトでは、今年から標準文字を入力すると、これを画像に変換し、出願する仕組みに変わりました。
今まではテキストがそのまま特許庁に発送されていたのですが、今年からは、特許庁が指定するフォントの文字で表示した画像に変換してから出願されるようになりました。
引用:標準文字に関するお知らせ
2017年1月1日から、JIS X 0213の例示字形を考慮した、特許庁長官が指定する新たな標準文字(商標法第5条第3項に規定)が適用される予定です。 なお、標準文字の一覧の文字の範囲に変更はありません。
出願前にプリントアウトし商標をチェックすると、昨年までは1行で表示されていた標準文字が、今年からは四角の枠内に指定のフォントでタイプされた文字が画像で表示されます。
なるほど、特許庁で変換するのではなく、出願する端末で変換するようにして、商標登録される文字のかたちを把握しておいてね、という趣旨も含まれているのかもしれませんね。
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