おはようございます。
弁理士の渡部です。
一昨日と昨日の当ブログのアクセス数が普段の何倍もあったので、何だろうと調べて見たところ、今年の弁理士試験論文試験の合格発表があったことが要因のようです。
当ブログには、弁理士試験についての記事があり、これがよく読まれているようです。
今週、弁理士試験論文試験の合格発表がありました。
合格された受験生の皆様、おめでとうございます。
また惜しくも合格を逃してしまった方は、めげることなく来年度の合格を力強く目指してください。
今年は試験制度が一部改正された年でした。
短答試験では科目ごとに合格基準点が設けられたり、選択試験の科目が集約されたりしました。
試験制度が変わるときにしばし不公平という声を聞くことがありますが、結局「全員条件は同じ」という結論に考えつくので、悶々とせず試験制度の公平性は確保されていると割り切った方がよいでしょう。
それよりも試験制度に合った勉強方法を日常生活のなかにきちんと作り上げていくということが重要です。
それから、今年の論文試験では不正受験があったようです。
向こう2年間受験禁止という重たい処分が下されました。
間違ったでは済まされないので、絶対に起こさないことはもちろんのこと疑われないようにも気を付けましょう。
さて、受験生の皆様は口述試験の勉強をいつから始めるのでしょうか。
論文試験で燃え尽きて論文試験の合格発表まで手つかずの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は8月に入ったらすぐに口述試験の勉強を始めました。
おかげで少し余裕をもって口述試験に臨めました。
論文試験の合格発表までは、条文、青本、過去問を繰り返し読み込みコツコツと基礎を勉強しましたが、論文試験の合格発表後は、受験機関や弁理士の各会派等が実施する口述練習会に数多く参加しました。
知識が頭に入っていても、それを言葉でスラスラと話すことが意外に難しいことに気づいたからです。
特に質問に対し要点を簡潔に答えるというのは練習が必要です。
口述練習会を何度も経験することによって、試験官とのコミュニケーションのなかで頭のなかの知識をうまく出力できるようになり、口述試験本番に役立った記憶があります。
口述試験本番は、2人の試験官を目の前に緊張も最高潮になりますので、本番さながらの雰囲気で何度も練習をするのが効果的です。
それとやはり、基本をしっかりと頭にたたき込むことが大切です。
基本とは、条文の内容と、他の条文とのつながりです。
口述試験本番では、事例問題が出されます。
事例問題は、基本の組み合わせですが、この組み合わせを事前に予想することは不可能です。
ですので、基本はしっかりと押え、組み合わせについては、本番のそのときに考え対応する、というやり方になります。
組み合わせが分かれば、それに沿って基本を淡々と出力すれば大丈夫です。
基本的には論文試験の勉強法と同じというわけです。
私のときは特許の問題において、実施権、訂正審判、訂正同意の可否、同意必要の趣旨、36条不備是正の訂正での不利益の所在などを聞かれました。
質問をいくつか聞いていると全体のストーリーが見えてくるので、そこから全体の題意を把握することができます。
個々の質問は簡潔に回答する必要があるのですが、大切なことは、全体の題意に沿って回答することです。
全体の題意が分からないまま個々の質問に回答しようとしても、試験官が求める回答を簡潔に述べることは難しいからです。
ぜひこうした観点で練習をしてみてください。
最後に、口述試験は最後の関門です。
「最後」というのは試験として最後という意味だけでなく、弁理士に必要な知識を習得する上で誰かが合っているか間違っているかを教えてくれる機会として最後という意味でもあります。
弁理士になってからは、問題が与えられることは基本的にありません。
お客様の話のなかから問題を抽出し、これを解決していくことになります。
時にはお客様が考える問題が正しくないこともあります。
そのときは、本当に解決すべき問題を弁理士が抽出し、問題を是正するという作業も必要となります。
そして、その問題に対し自分で答えを出し、合っているか間違っているかも自分で確認し、今後にフィードバックしていきます。
要するに、問題の抽出・判断・解決・評価のどの過程でも、頼れる軸が自分の知識と経験にしかないということです。
これを考えると、誰かが合っているか間違っているかを教えてくれるというのは本当に楽であったし、貴重な機会だったということを実感します。
ですから、この最後の機会で習得できることを一生懸命に習得し、最終合格後に開かれる弁理士の仕事に生かしていただきたいと思います。
残り1ヶ月もありませんが、できる限りのことを精一杯取り組み、確固たる知識に裏付けられた自信をもって本番を突破してください。
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