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店の外観は知的財産になる?コメダ珈琲事件を振り返ってみよう

おはようございます。
弁理士の渡部です。


本日は、先のブログ「店の外観が似ているとして『や台ずし』が『磯丸すし』を提訴」の続きです。


コメダ珈琲事件でも、今回の事件と同様に、店の外観が似ているとして争われました。


コメダ珈琲店は、ブランド化の取り組みの一つとして、統一的なコンセプトで人目を引く独自のデザインを施した喫茶店の外観を作り上げ、同じデザインの喫茶店を各地で展開するという取り組みを行っています。


このブランド化の取り組みのなかでは、独自のデザインが施された喫茶店の外観を顧客に覚えてもらい、顧客が喫茶店の外観を見たときにコメダ珈琲店やそこでのサービスを一緒に思い出してもらい、喫茶店に立ち寄ってもらうという導線を作り上げています。


したがって、コメダ珈琲店の外観は、コメダ珈琲店が企業努力によりよいサービスを顧客に提供することにより、顧客から得た評判(ブランド)を覚えておいてもらう大切な「しるし」になります。


一つの「しるし」に対し、一つのブランドが紐付いている状態であれば、その「しるし」を見た顧客は、コメダ珈琲店のことを思い出します。


しかし、一つの「しるし」に対し、2つ以上のブランドが紐付いている状態になると、その「しるし」を見ても、顧客はどのブランドか区別することができません。


より悪いことには、他の喫茶店をコメダ珈琲店と間違えてしまう、という事態が生じてしまいます。


ですから、コメダ珈琲店としては、コメダ珈琲店の外観は、顧客が再びコメダ珈琲店を利用してもらうための重要な知的財産であり、他社にマネされては困るわけです。


そこで、コメダ珈琲店は、コメダ珈琲店の外観にそっくりなデザインを施して、喫茶店を展開する他社を訴えたというわけです。


先のブログでお話したとおり、これまで店の外観を知的財産と位置づけて争われた例は多くありません。


この事件でポイントとなった点は、店の外観が、顧客が再びコメダ珈琲店を利用してもらうための重要な「しるし」として機能しているかどうか、そして店の外観が有名であるかどうかでした。


この点、裁判所は、いずれもコメダ珈琲店の主張を認め、店の外観を変更することを命じました。


コメダ珈琲事件をきっかけに、店の外観も知的財産として保護される流れが生まれました。


今回の事件は、まさにコメダ珈琲事件と同様に、店の外観が似ているとして、や台ずし店が磯丸すし店を訴えたという内容ですから、コメダ珈琲事件の流れを受けているといえます。


次回は、「米国で店の外観は『トレードドレス』として保護」についてお話しします。



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