おはようございます。
弁理士の渡部です。
ぐるなびや楽天のように他社店舗の情報を掲載する情報サイトを運営する場合、少なくとも
(1)商標法
(2)著作権法
(3)プロバイダ責任制限法
についてきちんと理解し、対処をしておく必要があります。
商標との関係についていえば、Webページ上で他人の登録商標と同一又は類似の範囲にある商標を用いて商品やサービスの広告を行うと、他人の商標権を侵害することとなり、その商標を使用した者(店舗運営者)のほか、情報サイトの運営者が責任を負わされる場合があります。
情報サイトの運営者が商標権侵害の責任を免れるためには、プロバイダ責任制限法による措置を講ずることが求められます。
しかし、プロバイダ責任制限法による措置は、店舗のWebページや掲載情報を削除するという措置になりますので、情報サイトにおいては、そこでその店舗との取引が途絶えてしまうばかりか、多大な費用をかけて作成したWebページを一方的に削除することになると、その店舗との間でトラブルが発生する可能性も否めません。
そこで、これを回避するため、情報サイトは、プロバイダ責任制限法による措置だけに頼らず、将来的に商標権侵害に起因するトラブルが発生しないように、Webページの制作にあたって商標登録の取得を条件とする契約を店舗と結んでおくということがお勧めです。
このような契約を結んでおけば、商標権侵害の問題がそもそも発生しないので、情報サイトは、商標権侵害の責任を第三者から追及されることはないし、掲載後に商標権侵害を理由として店舗のWebページを削除するなどということもないので店舗との関係も良好に維持することができます。
また、次善の策としては、Webページの制作にあたって商標登録の取得を促す程度にしておき、取得を強制としないやり方も考えられます。
ただし、この場合は、将来のリスクを店舗に対しきちんと説明するとともに、商標権侵害が生じたときは、プロバイダ責任制限法による措置を講ずることに合意するという規約を契約に盛り込んでおくとよいでしょう。
いずれにしても、情報サイトは、取り扱う店舗数が多いので、リスクマネージメントとして、店舗の商標権侵害により情報サイトの運営者が責任を負わされるという状況を回避する措置を講じなければなりません。