おはようございます。
弁理士の渡部です。
技術的思想は、どうやって抽出するのでしょうか。
製品とにらめっこし、想像力を駆使し導き出すという方法はあまり得策ではありません。
人間の想像力には限界があるからです。
では、どうするのか。
従来技術に対する技術的課題を明確にし、これを解決するための製品例を様々な角度から「具体的に」書き出します。
例えば、1つの発明につき10~30個の製品例を考えます。
六角鉛筆の例でいえば、三角鉛筆、四角鉛筆、五角鉛筆、七角鉛筆、横断面の外郭が楕円形である鉛筆、丸鉛筆の外郭に突起を設けた鉛筆などです。
これらを書き出し並べてみると、すべての製品例に共通する要素、そうでない要素が見えてきます。
そして、すべての製品例に共通する要素だけを抽出します。
これが技術的思想となります。
もちろん、このような単純なやり方ではありませんが、製品とただにらめっこしているだけでは、想像力の限界から、どうしても不要な要素をピックアップしてしまいます。
不要な要素を含んでしまうと、そこは、特許の落とし穴となるのです。
第三者は、不要な要素を含まない製品を作ればよいからです。
特許の役割は、どれだけ多くの第三者の模倣を抑止し、利益を独占できるように機能させられるかということに尽きます。
その観点からすれば、製品のコンセプトから様々な製品例を抽出し、すべての製品例に共通する要素(エッセンス)を串刺しにするという作業は、プロセスとしてとても合理的なのです。