おはようございます。
弁理士の渡部です。
商標が似ているかどうかの基準として、商標から生じる意味が似ているかどうかというものがあります。
例えば、
・「太陽」と「SUN」
・「キング」と「王」
・「SPRING」と「春」
・「鈴」と「BELL」
は、ともに同じ意味が生じるので、商標が類似すると判断された事例です。
しかし、同じ意味が生じるからといって、一様にこの基準が適用されるわけではありません。
例えば、「カメリア」と「椿」。
これは、ともに同じ意味が生じますが、商標が類似しないと判断された事例です。
どうしてでしょうか。
商標が似ているかどうかは、専門家の視点ではなく、一般消費者の視点で判断します。
一般消費者が間違えないことを防止するのが目的だからです。
一般消費者が、辞書を引いて初めて「カメリア」の訳語が「椿」であることが分かるような、あまり馴染みのない言葉の場合は、「カメリア」と聞いたときに直ちに「椿」と連想することはないので、商標が類似しないと判断するのが妥当でしょう、ということです。
これと同様に、「FRUITS STORY」と「果実物語」は、ともに「果実に関する物語」という意味が生じると判断されましたが、「FRUITS STORY」が「果実に関する物語」を意味する言葉として、”日常生活において相互交換的に使用”されていないとして、商標が類似しないと判断されています。
英語を日本語にした商標でも、英語の商標が複数の単語からなる場合や、英文で構成される場合は、同じ意味が生じても、必ずしも商標が類似するとは判断されない場合がありますので、諦めず、商標登録を検討してみる価値があります。
参考:異議2006-90091