おはようございます。
弁理士の渡部です。
もう少しオプティム社の特許と株価の関係について見てみたいと思います。
■市場はどうして動いたか?
オプティム社が「出口対策セキュリティ」の特許取得を発表したのが9月4日で、その日にオプティム社の株価がストップ高になりました。
ストップ高になったのは、発表の同日です。
株を買った機関投資家や個人投資家は、特許の専門家というわけでもないのに、短時間で特許の内容を検討し、株を買うという行動に出たのでしょうか。
ストップ高という売買ボリュームの大きさからして、人数は相当です。
この「出口対策セキュリティ」の日本の特許は、既に取得されていて、特許の取得が特許公報に掲載されたのが4月15日ですが、このときの株価は特に大きな変動はありません。
特許庁の公報を見て投資家が大きく動いた様子はないのに対し、今回は、オプティム社の発表によって投資家が動いたかたちになります。
オプティム社は、発表中「基本特許を取得」と記載しています。
「基本特許」というのは明確な定義はないのですが、一般的には、「基本特許」というと、「他社が出口対策セキュリティソフトを作ろうとすると、この特許を使わずに作るのが難しい、という影響力の大きい特許」という認識があります。
特許の内容を精査して動いたというよりは、オプティム社の発表中の「基本特許を取得」から、「出口対策セキュリティの分野において影響力の大きい特許を取得」という認識をし、割安感などの他の要因も加わって動いたという見方もできます。
■本当に、一般的な認識での「基本特許」なのか
「基本特許」は、先ほど申し上げたとおり明確な定義はなく、そこから改良特許が多数生まれる余地があれば、社内の基準で「基本特許」と位置づける場合があります。
この場合は、一般的な認識での「市場に対し影響力のある特許」というよりは、社内の特許戦略上の位置づけを表しているに過ぎません。
したがって、実際に市場に対し影響力のある特許なのかどうかは、発表だけでは正確に判断できず、やはり特許の内容を精査して判断しなければならないでしょう。
オプティム社の特許を見たところ、発表されている機能のほか、発表されていない機能も含まれています。
発表されていない機能が、果たして、他社が出口対策セキュリティソフトを作ろうとしたときに使わずに作ることができない機能かどうか。
オプティム社の特許が株価を支える実態に伴っているかどうかは、この点の評価ではないでしょうか。
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