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棒1本の特許、特急「宇和海」サイクルルームに採用

おはようございます。
弁理士の渡部です。


2月29日のYahoo!ニュースによると、JR四国が、特急「宇和海」の車内にサイクルルームを新設し、自転車を折り畳むことなく列車へ持ち込みができるサービスを開始するそうです。
四国では、四国を自転車旅行のメッカにしようと、様々なイベント誘致を行っていますが、特急「宇和海」のサイクルルームは、その取り組みの一つといえます。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160229-00010000-norimono-l38


このサイクルルームに搭載される駐輪装置に、なんとお客様の特許製品「クランクストッパー」が採用されることになりました。



引用:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160229-00010000-norimono-l38
クランクストッパースタンドCS-103


この「クランクストッパー」の特許は、当事務所で担当させていただいたものです。


本件特許は、自転車のクランクを1本のストッパー(棒)で駐輪するというものです。
ストッパー1本で自転車を駐輪するという発想は、まさに「コロンブスの卵」。本製品をみても、なぜ自転車が固定されるのか、まるで魔法にかけられたようです。



本件特許がどれだけすごいか。
特許の構成要件は、棒1本ですので、その棒を含む製品はすべて特許の権利範囲となります。
実は、棒である必要もないのです。
クレームには、「自転車固定手段」と表現されていますので、自転車を固定するものであれば、ロープやワイヤーで実現される製品も特許の権利範囲になります。


私が経験した数多くの事件でも、これほど広い特許はなかなかお目にかかることができません。


棒1本ということで特許になるまでの道のりも平坦ではありませんでした。
特許庁に現物を持ち込み、審査官に見てもらいながら本件特許の技術内容、効果、従来技術との違いを理解していただき、苦労の末に特許となりました。


開発記も熱く、実は、第1号の特許は、ストッパーが可動式になっていました。
固定式はできないかとお客様に尋ねたところ、固定式は技術的にできないとの回答だったので、当初の特許出願は、固定式を含まない内容になっていました。



▲可動式のストッパー▲


ところが、特許出願が完了し、いよいよ製品の展示会を明日に迎えるという前日になって、お客様が製品の不具合をきっかけに固定式が実現できるということが分かり、夜中に電話がかかってきました。


展示会開催まで数時間しかなかったのですが、固定式を含む新たな事項を特許の範囲に加えたいということで、数時間で特許出願を行うことになりました。
無事、展示会の1時間前に特許出願が完了し、その後、無事に固定式を含む特許を得ることができたのです。


偶然電話に出たからよかったのですが、もしあのとき私が電話にでなかったら?と考えると、事業に大きな影響があったことは間違いないでしょう。
ハラハラドキドキがあっての特許でもありますので、今回の製品採用のニュースは私にとっても本当に嬉しいお知らせです。
開発記・出願の物語は、こちらからご覧いただけます。  


おめでとうございます。



「1本の棒」が特許の構成要件▲


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