おはようございます。
弁理士の渡部です。
タイに進出した日本のアニメ企業が正規品販売で初年度の黒字化が実現するとの報道がありました。
タイでは、海賊版が多数流通していますが、正規品に人気が集まったかたちです。
日本のアニメや漫画の海賊版があふれるタイ・バンコクに昨年2月、出版大手のKADOKAWA、講談社、集英社、小学館とアニメ関連商品販売大手「アニメイト」の5社が共同で出店した正規品販売店の初年度の営業成績が黒字になるとの見通しを、運営会社が28日発表した。
海賊版は、安く入手することができるので、安易に購入に結びついてしまいます。
しかし、海賊版を購入する人たちは、必ずしも安いという理由だけで購入するわけではありません。
本当は正規品がほしいがタイ国内では入手できないという事情があり、海賊版を購入せざるを得ないというユーザも一定数います。
海賊版を根絶することはなかなか難しいでしょう。
ですが、海賊版を購入する人たちのなかで、正規品がほしいという人たちに対し正規品を提供するようにすれば、海賊版を購入する層の一部を、正規品を購入する層に転換することができます。
今回の進出は、こうしたユーザに対し正規品を適切に提供することでこれを実現したかたちです。
これまでは海賊版を取り締まることに焦点が当てられてきましたが、正規品を適切に提供するというアプローチで海賊版対策を実現している点が注目されます。
これを応用した海賊版対策が考えられます。
今回は、正規品の数が足りていないという課題にアプローチしたものですが、ある市場において、正規品を入手する手間等(手間、時間又は費用)が、海賊版を入手する手間等よりも大きいという課題がもしあるとすれば、この手間等を減らす対策を行えば、今回のような効果が期待できそうです。
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