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特許に人の作業が入るとどうなる?

おはようございます。
弁理士の渡部です。


特許を取得するときに、発明がどのようなものであるかを一つひとつの要素に分けて説明していきます。
このとき、発明の要素の一つに「人の作業」が必要となってくることがあります。
(手作業で)用紙を切る工程だとか、(手作業で)食器を洗う工程だとかです。


発明の内容を伺っているときに、発明の要素の一つに人の作業が入ると、いつもドキッとしてしまいます。
それは、特許の対象にならない場合があるからです。


特許の対象は、「発明」です。
しかし、この「発明」というのは、辞書に載っている発明とは異なります。
特許の対象となる「発明」は、特許法で詳しく定められています。


「発明」であるためには、自然法則を利用していることが一つの条件となっています。


「自然法則」というものを正面から説明しだすと難しくなりすぎるので、考え方としては、自然法則を利用しないアイデアは、特許法の「発明」でなく、特許の対象にはならないという意味で理解してください。


自然法則を利用しないアイデアのなかには、人が考え出したことや、人が決めたルールや、人が行う作業が含まれます。


特許全体を考えた場合、自然法則を利用しているかどうかが問題となることはほとんどありません。
ところが、私の専門分野である「ビジネスモデル特許」では、自然法則を利用しているかどうがよく問題となります。


例えば、発明の要素を「情報を検索する工程」と表現すると、「この表現は、人が検索を行う場合も含まれ、その場合は自然法則を利用する発明とは認められない。」という指摘を受けます。


この場合、どうするのか。
単に表現の問題なので「検索手段が情報を検索する工程」と表現を改めます。
このように表現すれば、人ではなく検索手段が検索を行うので、自然法則の利用の条件がクリアになります。


こういう指摘をよく受ける分野の特許を担当しているので、発明の要素に「人の作業」が含まれていると、反射的にドキッとしてしまうのです。


でも、安心してください。
ビジネスモデル特許はちょっと特殊な分野なのです。
他の分野の発明は、発明の要素の一つに人の作業が含まれていても、自然法則を利用しているかどうかが問題となることはほとんどありません。


発明の要素に人の作業が含まれても特許の対象になる場合が多いので、そのような場合でもぜひ一度専門家に相談してみてください。



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