おはようございます。
弁理士の渡部です。
特許の維持年数と年金の関係については、先のブログ「特許10年目の壁」でお伝えしたとおりです。
このように設計することで事業の実情に合わせた負担となるのですが、年金は、特許の生存率に影響を与えます。
特許の維持に負担がなければ、苦労して取得した特許をわざわざ消滅させる必要性は何もありませんが、特許の維持に経済的事情が加われば話は別です。
特許を維持するかどうかは経営上の必要な判断となります。
特許の生存率とは、取得した特許のうち何割が有効に存続しているかを表すものです。
下のグラフから分かるように、11年目から急激に特許の生存率が低下していき、19年目は、僅か0.1%になってしまいます。
なお、第1年~第3年が100%なのは、最初に3年分の年金を納めるからです。
▼特許行政年次報告書2015年版「統計・資料編」より▼
我が国の特許制度は、驚くかもしれませんが、特許を与え企業が儲かることを促進することを目的にしていません。
有益なアイデアを世の中に広く開示してもらい、そのアイデアを世の中の企業が利用することで、世の中が便利で豊になり、産業や経済が発展することを目的にしています。
とはいっても、無償でアイデアを開示する人はいないので、開示する見返りとしてアイデアを一定期間独占できる特許を付与する、という制度になっています。
すなわち、我が国の特許制度において、特許は、アイデアを開示してもらうためのインセンティブといった位置づけです。
こうした観点に立つと、上記グラフからは、単に「11年以降の年金額が高く維持しない企業が多い」ということだけではなく、ある重要な事実がみてとれます。
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