おはようございます。
弁理士の渡部です。
本日は、他人の特許を侵害したときの損害賠償のお話です。
これについて、昨日、知財高裁史上7つ目の大合議判決がでました。
大合議判決というのは、裁判官が通常3人のところ5人で行う「大合議」で審理を行って出す判決のことです。難しい判断や判決の結果が与える影響が大きい場合に大合議が行われます。
さて、特許で保護されるアイデアについては、特許を侵害された場合にその損害額をどのように計算するかが大変難しいという事情があります。
目に見えないだけに、他人にそのアイデアを模倣されたからといって、一体いくらの損害が発生したのかというのが分かりにくいからです。
そこで、特許法には、損害額を簡単に計算できるように、3つの特別な規定が設けられています。
(1)1つ目は、侵害者が販売した模倣品の数に1つあたりの利益額をかけ算して得られた金額を損害額とする、というものです。
(2)2つ目は、侵害者がアイデアを使ったことで得た利益額を損害額とする、というものです。
(3)3つ目は、特許をライセンスしたならば支払うべきライセンス料を損害額とする、というものです。
これには注意点があり、(2)については、特許権者自身が日本国内でアイデアを使っていることが必要であると考えられていましたが、上記大合議判決では、「直接日本で販売せず、別の代理店が輸入販売していた場合も特許権を持つ企業の損害額は幅広く認めるべきだ」として、(2)による損害賠償を認めたというものです。
権利者を擁護するかたちの判決といえます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130201/k10015236331000.html