おはようございます。
弁理士の渡部です。
「秘伝の味」で代表される製品としては、コカコーラが分かりやすい例です。
コカコーラ社は、どのようにして「秘伝の味」を守っているのでしょうか。
「秘伝の味」について製法や配合等に特徴がある場合は、特許で保護することができます。
しかし、このような「秘伝の味」で他社と差別化を図っている企業にとって、特許は必ずしも魅力的ではないのです。
こうした企業にとって、特許には大きな問題があるからです。
第1に、特許の存続期間が有限(出願から20年)であること。
第2に、特許を取得する代償として製法や配合等を一般に公開しなければならないこと。
第3に、製法や配合等が模倣されても侵害の発見が困難であること。
企業は、「秘伝の味」によって市場から支持を受け、長く市場を独占することができます。
コカコーラ社の歴史をみても、実に100年近くその人気が衰えることはありません。
これに対し、特許では高々20年の保護しか受けられません。
しかもその後は、他社が同じ味の製品を市場に投入し、自社の独自性が失われてしまうことは必至です。
そこで、コカコーラ社は、レシピを営業秘密として秘匿することに決めたのです。
レシピは、金庫に厳重に保管され、その内容を知るのは最高幹部のみという話です。
何も知的財産権で保護するばかりが保護の方法ではなく、コカコーラ社のように「秘匿」することも、保護の一つの方法なのです。
さて、コカコーラをひたすら飲み続け、そのレシピを見出し、同じ味の製品を作られてしまった場合はどうでしょうか。
これについては、残念ながら今の法律ではどうすることもできませんが、レシピを見出すのは、コカコーラと同じ味の製品が世の中に存在しない事実からも極めて困難であると考えられます。