おはようございます。
弁理士の渡部です。
「日本酒」という表示が「国産米や国内の水を使って国内でつくられた清酒」にしか付することができない、とするルールを政府が年内にも作ることが発表されました。
政府のクールジャパン戦略の一環で、スコッチウイスキーやシャンパンと同様に日本のブランドを守ることが狙いです。
引用:http://www.asahi.com/articles/ASH685GYWH68ULFA028.html
さて、この取り組みは、地理的表示を知的財産として国際的に保護するTRIPSという条約を根拠としていますが、これを管轄する省庁が、農林水産省でも経済産業省でも消費者庁でもなく、「財務省」となっています。
なぜ「財務省」なのでしょうか。
日本酒とはとんと縁がないようにも思えます。
実は、財務省、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づいて、酒税に関する行政を行っています。
そして、この法律は、「地理的表示に関する表示基準」というものを定めています。
「地理的表示に関する表示基準」には、次のような規定があります。
1.日本国のぶどう酒又は蒸留酒の産地のうち国税庁長官が指定するものを表示する地理的表示は、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用してはならない。
2.清酒の産地のうち国税庁長官が指定するものを表示する地理的表示は、当該産地以外の地域を産地とする清酒について使用してはならない。
現在、どのような地理的表示が国税庁長官によって指定されているのでしょうか。
「山梨」 … 山梨県産以外のワインに「山梨」と表示することはできません。
「壱岐」 … 長崎県壱岐市産以外の焼酎に「壱岐」と表示することはできません。
「球磨」 … 熊本県球磨郡人吉市産以外の焼酎に「球磨」と表示することはできません。
「琉球」 … 沖縄県産以外の焼酎に「琉球」と表示することはできません。
「薩摩」 … 鹿児島県産以外の焼酎に「薩摩」と表示することはできません。
「白山」 … 石川県白山市産以外の清酒に「白山」と表示することはできません。
今回財務省の取り組みは、これと同じような枠組みで「日本酒」という表示を国際的に保護しようというものです。
引用:https://www.youtube.com/watch?v=yMhMlgTtI1Q