おはようございます。
弁理士の渡部です。
知的財産権のなかで特許権の侵害については、刑事事件にまで発展することは稀ですが、商標権や著作権の侵害については、侵害かどうかを目で見て判断することが比較的容易であり、侵害する側も故意で行うケースが多いことから、刑事事件にまで発展することがあります。
さて、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、今月、同社の著作権侵害対策支援活動の2011年度における状況をとりまとめました。
ACCSによれば、ACCSの協力により刑事事件に至った著作権侵害事案は、2011年度は83件に上ります。
侵害手法の内訳は、
・ファイル共有ソフト「Share」 … 42件
・海賊版販売 … 21件
・ストレージサーバ悪用 … 10件
・ファイル共有ソフト「BitTorrent」 … 4件
・動画投稿サイト … 3件
・違法更新代行(複製権等の侵害) … 2件
・その他(海賊版の業務使用) … 1件
となっています。
侵害メディアの内訳は、
・アニメーション … 30件
・ビジネスソフト … 14件
・コミック … 12件
・ゲームソフト … 10件
・ナビゲーションソフト … 10件
・映像作品 … 7件
・教材 … 2件
となっています。
上記件数は、あくまでACCSの活動であり、氷山の一角です。
全体の規模はこれ以上となると考えられます。
刑事事件となれば、懲役刑や罰金刑が課される場合があり、民事事件に比して社会的制裁を強く受けますので、商標権や著作権のように目で見て分かりやすい知的財産権については、慎重な利用が求められます。