おはようございます。
弁理士の渡部です。
最近、インターネット上で著作権の問題がよく取り上げられています。
著作権は、誰もが簡単に手にすることができる権利でありながら、「複製」「上演」「演奏」「上映」「公衆送信」「口述」「展示」「頒布」「譲渡」「貸与」にとどまらず、「翻訳」「編曲」「変形」「二次的創作」にまで幅広く、他人の行為を規制することができる強大な権利です。
このように、著作権は、幅広く他人の行為を規制するにもかかわらず、特許や商標とは異なり、どこかの機関に届け出たり出願したりする必要はなく、文章、絵画、音楽等の著作物を作った時点で権利が発生する仕組みになっています。
簡単に誰でも手にすることができるのに強大で仕組みが複雑という印象です。
著作権法を細部までご存じの方が少ないなかにあっては、いつどんな行為が他人の著作権を侵害する行為なのか分からずにいる方が多いと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、今日は、その一つの事例として「街頭のテレビ」というお話をご紹介します。
昔から、街頭に設置されたテレビで野球やプロレスなどの中継を楽しむ景色を見かけます。
しかし、放送されるテレビ番組は、著作権の対象であり、テレビ局の許諾なく、テレビ番組を公に上映することはできないのが原則です。
では、街頭のテレビは、テレビ局の著作権を侵害するのでしょうか。
侵害するとしたら、テレビを設置した人でしょうか、それとも見ている人達でしょうか。
実は、この「街頭のテレビ」については、次のように著作権法で特別の例外規定が設けられています。
「放送されされる著作物(テレビ番組)は、営利を目的とせず、かつ、観衆から料金を受けない場合は、受信装置(テレビ)を用いて公に伝達することができる。」
街頭のテレビ文化は、著作権法で守られているのです。
安心です。
ただし、気をつけていただきたいのは、これはあくまで例外規定ということです。
著作権法に限らずあらゆる法律に共通しますが、例外規定というのは、原則に穴を空ける規定ですので、認められる範囲は極めて狭いと考えた方が無難です。
例えば、上記の例外規定はインターネット放送には適用されませんので、パソコンを大型スクリーンに接続し、インターネット放送を大型スクリーンに上映して大勢でスポーツ番組を楽しむといった行為はNGです。