おはようございます。
弁理士の渡部です。
商標が似ているかどうかの判断が軟化しているように感じる事件が出ています。
つまり、従来は、似ていると判断される可能性が高い商標が、似ていないと判断される事件が出ています。
今回ご紹介する事件は、商標「Kixx」が他人の商標「KICS」と似ているかどうかが争われた事件です。
商標が似ているかどうかの判断基準として、(1)商標の見た目が似ているかどうか、(2)商標の読み方が似ているかどうか、(3)商標の意味が似ているかどうかの3つの基準があります。
通常、見た目、読み方、意味のうちどれか1つでも似ている場合は、商標が似ていると判断されます。
このうち特に「読み方」が似ている場合は、商標が似ていると判断される傾向が強いです。
消費者は、見た目や意味よりも、商標を音(読み)で記憶し商品を売買することが多いからです。
本件については、商標「Kixx」から「キックス」の読み方が生じ、商標「KICS」からも同様に「キックス」の読み方が生じると認定されましたが、結論として、見た目や意味が大きく異なるので、2つの商標は似ていないという判断になりました。
参考:不服2012-18679