おはようございます。
弁理士の渡部です。
電子書籍リーダー端末「Kindle」のメーカーであるAmazon社が、同電子書籍リーダー端末で使用されるスクリーンセイバーの技術に関してAcacia社の特許を侵害したとして、Acacia社から告訴されています。
特許侵害を理由に告訴されるという話はよく耳にしますが、本件が興味深いのは、Acacia社がいわゆるパテントトロールであるという点です。
パテントトロールとは、特許権を第三者から購入し、自らは特許製品を製造・販売したりはせず、特許侵害の疑いのある者に対して、特許権を行使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする者といわれています。
「トロール」とは、北欧神話で洞穴や地下等に住む奇怪な巨人を意味し、「怪物」という意味で使われている言葉であり、英語では蔑称として用いられています。
Acacia社は、損害賠償だけでなく、特許技術であるスクリーンセイバーの技術を使用するすべての電子書籍リーダー端末を破棄することを要求しています。
これは何を意味するのでしょうか。
Acacia社がパテントトロールであることを考えると、特許技術を利用する電子書籍リーダー端末を市場から追放することを意図しているとは考えがたいです。
その真意は、Amazon社が、特許技術を利用するすべての電子書籍リーダー端末を、特許に抵触しない新たな端末に交換することで特許侵害を回避するか、又は、その交換費用に相当する和解金をAcacia社に支払うことで和解するかの選択をAmazon社に迫っているものと考えられます。