おはようございます。
弁理士の渡部です。
ファンケルは、2010年7月に、DHCに対し、クレンジオイルに関する自社の特許が侵害されたとして、DHCが製造・販売するクレンジングオイルの製造・販売差し止めなどを求めて特許侵害訴訟を提起していました。
その判決が今月、東京地裁でありました。
判決は、DHCよる特許侵害を認め、DHCに対し損害賠償を命じるものでした。
さて、この事件で注目したいのは、化粧品業界においては特許侵害訴訟まで至るケースがとても珍しいという点です。
多くの場合、販売店への影響を考え、企業間の良識的な話し合いで決着がつくためです。
ところが、ファンケルがDHCを提起した背景には、DHCの異質な企業体質があったようです。
国内化粧品市場が飽和している今、いかに他社と差別化を図るかが企業の生命線となり、各企業にとって、知的財産権は、競争力を維持・向上する上で重要な資産となります。
こうした状況だからこそ、各企業は、商品開発にあたって他社の知的財産権に対して敬意を払う必要があるといえます。
DHCは、その昔、出版事業を営んでいましたが、当時の日本経済新聞によると、著者や出版元に無断で語学教科書を売りさばいていたとして著作権法違反で訴えられています。
このような過去の経緯からも、DHCには、知的財産権を重視しない企業体質があったのではないかと想像されます。
今回の事件は、まさに起こるべくして起こったといえるのかもしれません。
http://news.e-expo.net/news/2012/05/post-103.html
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2010/07/vsdhcdhc.html