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IoTの特許戦略「n対1やn対nの対応関係を見出す」

おはようございます。
弁理士の渡部です。


IoTのモノとして、コンセントを利用したシステムをご紹介します。
見守りコンセント」といって、差し込まれた家電の使用電力を測定し、使用電力データを定期的にクラウドサーバに送信するというものです。


一人暮らしの高齢者の宅内に見守りコンセントを設置し、冷蔵庫やレンジなどの家電を見守りコンセントに差し込んでおきます。
そして、クラウドサーバで不自然な電力使用パターンを検出すると、通知メールが家族に送信され、安否が確認できるというサービスです。


クラウドサーバの基本となる処理は、使用電力データに基づいて、家電が長時間オフになっていたり、逆に家電が長時間オンになっていたりなど、不自然な電力使用パターンを検出した場合に、家族に通知メールを送信することです。


これは、高齢者A宅の使用電力データから、高齢者A宅での不自然な電力使用パターンを検出する技術であり、モノと処理結果が1対1に対応しています。


特許の観点から考えると、モノと処理結果が1対1に対応している技術は、過去のIT関連の特許で近い技術が出願されている可能性が高いと考えられます。


IoTの特許戦略で有効なアプローチは、データを横断的に利用する点です。
横断的な利用とは、例えば、高齢者A宅の使用電力データのほか、高齢者B、C、D宅の使用電力データも用いて、高齢者A宅での不自然な電力使用パターンを検出するような場合です。


横断的に利用するわけですから、高齢者A宅の使用電力データだけを用いる場合に比して、より高精度に不自然な電力使用パターンを検出できるといった効果につながります。
高精度というのは、高齢者A宅の使用電力データだけを用いる場合だと、例えば、高齢者Aが無事なのに不自然な電力使用パターンと検出してしまったり、逆に高齢者Aが無事でないのに不自然の電力使用パターンと検出しなかったりするところ、高齢者B、C、D宅の使用電力データも用いることで、このような状況が少なくなるといった具合です。


モノと処理結果の関係でみれば、単に1対1の対応ではなく、n対1やn対nの対応が考えられないか、一歩掘り下げて検討することが特許性を見出す手がかりになります。



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