おはようございます。
弁理士の渡部です。
日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室での演奏をめぐって著作権料を徴収する方針を決めたことに対し、教室を運営する事業者などが「音楽教育を守る会」を結成し、3日発表した。著作権法が作曲家や作詞家が専有すると定める演奏権は教室での演奏には及ばないとして、徴収に反対する活動をしていくという。
著作権法は、「他人の楽曲を使ってお金を稼いだら、そのうち一部は著作権料として支払ってね」という考えをもとに設計されています。
世の中に様々な楽曲が生まれ、それが多くの人達に利用されることで文化が豊かになる一方で、文化が豊かになることに貢献した人(楽曲の制作者)には、利用により得られたお金をシェアしましょうという世界を実現しようとしています。
こうした世界観となっているので、「他人の楽曲を使ってお金を稼ぎましたが、著作権料を払いません」とする立場を主張するのは、苦しく、世界観を曲げるだけの理由が必要になります。
著作権法には、教育目的の利用だとか営利目的でない利用については当然想定されていて、ノーケアーではありません。
厳しい条件の下に認めれています。例えば、こんな条件が著作権法上にちりばめられています。
- 「公衆に直接聞かせることを目的として」
- 「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において」
- 「学校教育の目的上必要と認められる限度において」
- 「営利を目的とせず、かつ、聴衆から料金(いずれの名義をもってするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。)を受けない場合には、」
- 「演奏者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」
音楽教室団体は、これらを踏まないようにするとともに、著作権法の世界観を曲げるだけの理由を示す必要があるというわけです。
公益的な理由として「教育目的」というのは一つのアプローチです。
団体名を「音楽教育を守る会」としたのも、この点をメッセージ付けています。
次回は、本記事の続きとして「JASRACの著作権料徴収『権利内で戦うか権利外で戦うか』」についてお話します。
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